受講生が「習得・修得・体得」のどの段階にいるかを知るよい方法があります。それは、セミナー終了後にアンケートを取る会社が多いのですが、その回答内容を読むことで概ねを知ることができるのです。

【“三得” の見分け方】

(1)習得
感想欄に「感動しました」「良かったです」といった抽象的な表現が多ければ、おそらく習得レベルであり、実践に移す割合は少ないと思われます。
駆け出しの講師やモチベーション系の講師は「感動」という文字を見て舞い上がる傾向があります。しかし、「雙志館」の講師は『成果』を重視すべきであり、このようなアンケート結果が多数の場合は、内容や進め方を精査してください。

(2)修得
感想欄に「明日から○○を行います」と実践レベルの表現が多ければ、修得レベルに達している可能性が高いと言えるでしょう。
その受講生に次に会う機会があれば、「あの後、研修内容を実行に移しましたか?」と声を掛けましょう。会う機会がない場合は、ぜひ会社に対して「実践が重要であり、その様子をチェックしましょう!」と強く勧めてください。

(3)体得
感想欄の書き方は修得と共通していますが、加えて休み時間に講師へアドバイスを受けに来たり、受講生同士で「明日から○○しよう」と具体論で話し合うなど、何らかのアクションを起こしています。
このような受講生は、実際に当日もしくは翌日から会社での行動や発言内容が明らかに変化しているはずです。

【講師が成すべきこと】

「なんだ、研修が終了してアンケートが取られた後にならないと分からないのか」とガッカリされましたか?安心してください。研修前から勝負はついていますよ!

(1)事前準備
受講生が習得に終わることなく、修得や体得に向かうよう、カリキュラムの組み方やテキスト・スライドの内容を工夫すればよいのです。詳細を書きはじめると随分と長くなりますので、「雙志館」の講義の中で解説します。

(2)研修中
大きく分けると、講師のインプットとアウトプットに分かれます。インプットとは、受講生の表情や態度など情報を頭に入れて「この人は習得の段階だから、後でマンツーマンでアドバイスしよう」といった判断をすることです。現場での経験がある程度モノを言います。

アウトプットとは、講師の話し方や立ち居振る舞いです。受講生の心をわしづかみにして、何としても成果を上げようと受講生・講師が一体になるような雰囲気を醸し出すことです。これは、経験も大切ですが、トレーニング次第で比較的短期間でマスターできます。


さて、前編・中編・後編と3回にわたって記載しましたが、「雙志館」の講師が行うセミナー・研修は、単にその場を盛り上げて終わるような薄いものではなく、テーマに沿った“成果”を重視すること、そのためには講師自身も受講生に対しても“修得→体得”を目ざすことが強く求められることをご理解ください。