「石の上にも三年」という諺は、修行が大切とされる板前さんや陶芸家さんなどの世界でよく使われますが、ビジネス研修の講師にとっても重要な意味を持ちます。

「この情報化社会に、時短を重視すべき講師が何を言っているんだ」という疑問を持たれる方も多いでしょう。たしかに、企業の決算は1年単位ですから、短期間に成果を上げるべき局面もあります。ただし、人材の教育に関わる講師は、短期間で成すべきことと、長期間にわたって積み重ねることの両面からアプローチすることが肝要です。

講師の能力を、社会人に求められる3つの能力に当てはめて解説します。

1.短期間に修得すべきこと
技術力(テクニカルスキル)・・・基本的な話し方、書き方

2.長期間にわたって積み重ねるべきこと
人間関係調整力(ヒューマンスキル)
・・・受講生の表情やアウトプットから理解度や満足度を見究める力
・・・顧客企業および研修会社からの「この講師なら大丈夫」という全幅の信頼

概念形成力(コンセプチュアルスキル)
・・・複数のテーマを組み合わせて新たなプログラム作成や講義ができる力
・・・受講生や顧客企業からの困難な質問や要求に的確に応えることができる力


技術力に関しては、半年もしくは3ヵ月くらいで徹底してトレーニングすることで上達できますので、講師たるもの出来て当然のレベルには早々に達していただきたいものです。しかし、この段階で満足してしまう人が多いのも事実です。

人間関係調整力や概念形成力は、ある程度は出来ているのだけれど、それ以上は伸びようとしない、あるいは伸びるための術を知らない人が多いのです。

この2つの能力を伸ばすためには、かなりの現場経験のある先輩講師から徹底した指導を受け、現場で試行錯誤を繰り返し、また指導を受けるの繰り返しを、歯を食いしばって行うしかありません。
そのためには、私の経験では三年くらいの年月はかかると確信していますし、半年程度で“促成栽培”をされ、後に消えていった中途半端な講師を腐るほど見てきました。

私は、“促成栽培”でとりあえず講師の頭数をそろえたり、派手な宣伝で講師希望者を集めて“浮利”を稼ぐ業者が跋扈する講師業界に一石を投じるため、「雙志館」を大嶋先生と共に創設しました。
三年をかけて「揺るぎない真の講師力」を身に付ける覚悟を持った方々に集まっていただきたいと切に願っています。