■ワンポイント・エッセイ 心身を鍛える(6) 大嶋利佳

 スピーチやプレゼンテーション研修で、ビデオ撮影を行って
自分が話している様子を本人に見せることがあります。これを
行うと「嫌だ、撮られたくない、見たくない」と多くの人が言
います。
 誰でも自分の姿、それも苦手なこと、不慣れなことをしてい
る姿を直視するのは嫌でしょう。しかし、だからと言って動画
を見ないで済ませてしまえば、上達はできません。
 どんなことでも、向上、改善、上達ができるのは自分の現状
をしっかりと見つめる人です。自分の不足、不十分な部分から
目をそらさない。そして、「今の自分ではだめだ」と切実に感
じ、改善のための行動を起こす。これが心の強さだと言えるで
しょう。
 「今の自分ではだめだ」と思えるのは、心が強い人です。弱
い人は「自分はだめだ」と言います。スピーチやプレゼンテー
ション研修でも伸びる人は自分の動画を見て「私のこの点はま
ずかったですね」と部分を挙げて反省しますが、伸びない人、
練習を続けられずやめてしまう人は「私って下手ですね、ダメ
ですね」と自分をすべて否定してしまいます。
 自分のダメな部分を見たときに、それを「部分だ」と冷静に
捉えられるか、「全てだ」と思い込んでしまうか、これが心の
強さ、弱さを分けるのかもしれません。