■ワンポイント・エッセイ    プロ講師の表現力(10)
                                  大嶋 利佳

 前回、講義や講演も、親しい人とのリラックスした会話と変わ
らない、と捉えることが自然な表現につながると述べました。そ
れは音声だけでなく、身振りや態度にも言えます。今回は身振り
について述べます。
 プレゼンテーション研修などでよく、「身振り手振りをつけて
もいいですか」とか「つけた方がいいんですか」と尋ねられます。
私はこの質問をされるたびに「人前に立つからってそんなに考え
すぎなくてもいいのに・・・」と思います。
 親しい人とリラックスした会話をしている場面で、こんなこと
で迷ったり、どうしたらいいかと他人に尋ねたりするでしょうか。
話を面白く伝えたいとか、自分の感情を強調したいとか、なにか
気持ちがこもるときには自然と手も動くでしょう。講義や講演で
も、それでいいのです。
 「真面目にやらなければ」と緊張して動けなくなったり、逆に
「アピールしなければ」と頑張りすぎて、大げさに手を広げたり
振りあげたりするのは、どちらも不自然で、聞き手を疲れさせて
しまいます。
 「普段通りに話せばいい」。身振りにおいても、まずはこれが
基本です。