■ワンポイント・エッセイ   プロ講師の表現力(9)
                                     大嶋 利佳

 先月は声をテーマとし、講師や講演者であれば少なくとも3種
類の声、口調を使い分けることが大切だと述べました。それは
「明るさ」「真面目さ」「厳しさ」です。
 受講者との信頼関係やリラックスした雰囲気を作りたい場面で
は「明るさ」を、講義内容をしっかりと聞いてほしい場面では
「真面目さ」を、そして必ず遵守し実行すべき、重要な指示や指
導を伝える時には「厳しさ」を、と使い分けられるようにしまし
ょう。
 しかし、考えてみればこうしたことは日常生活では誰でもやっ
ています。親しい間柄の人とリラックスして話をしているときに、
「楽しい内容なのに、緊張して声が暗くなってしまった」などと
いうことはありません。特別に「明るく、楽しく話すよう頑張ろ
う」などと思わなくても、自然とその内容にあった声、口調にな
るはずです。
 講義や講演も、親しい人とのリラックスした会話だと思えば、
自然に声が使い分けられるものです。「今日はいつもとは違う。
大勢の前で特別な話し方をしなければいけない」と思い込むと、
声や口調が一本調子になります。「聞いてくれている人数が多
少増えた、普段よりはちょっと丁寧な言葉遣いが必要だ、でも、
基本的には日常会話と変わりはない」という捉え方をすること
が、声にも自然な変化をもたらします。