■ワンポイント・エッセイ
  プロ講師の表現力(8)内容にあわせた声    大嶋 利佳

 ある程度長時間の講義や講演には、当然ですがさまざまな内
容が含まれます。挨拶や場をなごませる程度の気軽な語り掛け
もあれば、しっかり説明すべき部分もあり、ときには受講者に
注意指導をすることもあります。
 内容が違うのですから、声も当然変わるはずです。私は講師、
講演者であれば少なくとも3種類の声、口調を使い分けなけれ
ばならないと考えています。それは「明るさ」、「真面目さ」、
「厳しさ」です。
 この3種類を、話の内容によって使い分けていると、受講生
の姿勢や態度、理解度もあがります。内容と声が合っていれば
感覚的にも受け入れやすくなりますし、変化がつくことで飽き
ずに話に集中できるからです。
 経験の浅い講師は、どうしても一本調子になりがちです。
「真面目にやらなければ」と緊張して、受講者が気軽に聞いて
いい内容も硬い口調で伝えたり、「受講生に優しく接しなけれ
ば」と厳しくすべき場面でも笑みを含んだ声で話してしまった
りなど、内容と声の不一致が起こります。
 講義や講演を準備する際に、内容や構成をチェックするだけ
でなく「この内容だったらどんな声が合うか」も考えておくと
よいでしょう。