■ワンポイント・エッセイ
 プロ講師の表現力(7)声を変化させる工夫  大嶋利佳

 講義を淡々とした一本調子のものにしないため、私が実践して
いる工夫のひとつに「説明にセリフを入れる」があります。
 例えば、講義の中に、聞き手が理解しにくい部分があったとし
ましょう。そんなとき、多くの講師は次のように言います。
「この部分は少し複雑ですので、説明をよく聞いてください」
 ここに、セリフを入れて次のようにしたらどうでしょう。
「この部分は、皆さん、「え?わかんない・・・」と思うかも
しれません。でも、説明を聞けば「あ、そういうことか!」と
なりますから、よく聞いてください」
 受講者の心の声を、講師が代わって言葉に出してあげるわけ
です。このようにすると、受講者は、自分の気持ちを分かって
もらえるという安心や親しみを感じます。
 そして「え、わかんない・・・」「あ、そういうことか!」の
セリフ部分を、声を変え感情をこめてリアルに表現すると、聞
き手の耳に刺激となり、「あの先生の話は面白い、飽きない」
という感想につながります。
 説明にセリフを入れ、その部分で声を変える。これはどんな
講義内容でもできますので、試してみてください。