■ワンポイント・エッセイ
プロ講師の表現力(5)音声を使いこなす    大嶋利佳

 先月まで話す基礎力の大切さを述べてきました。今月からさま
ざまな表現力について考えます。今回は音声表現を取り上げまし
ょう。
 プロの講師として、聞き手に届く大きな声ではっきり話せるの
は当然です。講義講演を効果的にするためには、それだけでは足
りません。私は、次のふたつが欠かせないと考えています。まず
は「単調、一本調子ではなく変化をつけられるか」、そして「内
容にあった声が出せるか」です。
 先にあげた「変化をつけられるか」は、ある程度長い時間を話
す場合に、特に大切な表現力です。
 私たちは、長い時間人の話を聞いていると、どうしても飽きて
きます。その原因は内容がつまらないからというよりも、多くの
場合、話し手の声が単調だからです。どんなに大事な話をされた
としても、その声が淡々と一本調子であれば、どうしても眠くな
ってしまうでしょう。たとえ大きな声であっても、ずっと聞いて
いれば耳が慣れて、刺激とは感じなくなります。
 聞き手を飽きさせず内容に集中させるためには、声の単調さを
破る必要があるのです。これについて次回さらに述べていきます。