■ワンポイント・エッセイ「取り組む姿勢」大嶋 利佳

「本を出せる人と出せない人」の違いについて、先月は「言い訳」
をテーマに述べてきました。今月は、取り組み姿勢について考えま
す。
 私は30代半ばで研修講師として独立しましたが、そのときから
自著の出版を目指してきました。しかし、周囲の声は否定的なもの
ばかりでした。
 「話し方だのビジネスマナーの本はすでにいっぱいある。有名人
でも成功者でもない主婦の本など、出す出版社があるわけがない。
自費出版以外は無理」。
 こういうことを何十人もの人、特に経営コンサルタントと名乗る
人たちから言われました。その言葉をすべて無視して本1冊分の原
稿を書き上げたから、今日の出版実績があります。
 誰に頼まれたわけでもない、書いたからと言って誰が読んでくれ
るわけでもない、出版できるかどうか分からない、そんな不安な状
態の中で文字を書き連ねる作業を続けるには、それなりの精神力が
要ります。
 よく「本を出すのが夢だ」という人がいますが、出版は「夢」で
はなく、現実的で地道な「作業」です。文字を書き、文章を連ねて
いく「作業」を、言い訳したり先送りしたりせずに続けられるかど
うか。出版の実現はひとえにこれにかかっています。
 他人の否定的な言葉には耳を貸さず、目標に向かって日々行動する
これは、どんな分野であっても、成功のカギだと言えるでしょう。