■ワンポイント・エッセイ
研修講師としての話し方 質問を交える(6)大嶋 利佳

 受講者に質問し、発言を求めるとは、一時的にでも講義進行の
主導権を譲り渡すということです。受講者が的外れな発言をすれ
ば正さなければならず、延々と話し続ければ制止しなければなら
ず、自分の思った通りには進みません。
 それを恐れることなく、受講生に発言の機会を作り、ともに講
義の流れを作っていけるようになれば、それは講師として大きな
ステップアップになるでしょう。
 講義に積極的に質問を交えるため、注意すべき点をまとめてお
きます。
・受講者に発言してもらう必要性があるか
 講義の内容や進行によっては、講義だけで進めた方が効果的な
場合もあります。「参加型がいい研修だ」という思い込みで、不
用意に受講者に発言させないようにしましょう。
・受講者が発言しやすい環境であるか
 大勢の前で発言させられたり、他の参加者との間に上下関係があ
ったりすると安心して受講することはできません。誰もが自由に発
言できる場かどうかを見極めましょう。
・時間管理ができているか
 受講者の発言で時間を取られ、講義が予定通りに終わらないよう
では良い研修とは言えません。余裕のある進行予定をたて、その範
囲で発言してもらうよう時間を管理しましょう。