■ワンポイント・エッセイ
研修講師としての話し方(3)視線配り   大嶋利佳

 今回は、研修での視線配りについて具体的に述べます。まずは、
教室型の机配置で多数の受講者が着席している場面を想定します。
 広い範囲で、視線を全体にしっかり向けるためにははずは原則を
持っておくことが大切です。「この順番、この方向を見る」と予め
決めておきましょう。これがないと、近くにいる人、うなずいてく
れる人など見やすい人ばかりに視線を向けることになります。
 原則は「後ろから前へ斜めに」です。講義が始まったら、まず自
分の正面の一番遠い席を目標として、挨拶や自己紹介をします。こ
れにより「全体を見る」という姿勢が定まり、また後ろまで声が通
るかどうかがチェックできます。
 その後は視線を、一番後ろの左奥から斜めに前に動かし、右端の
列を見たらそこから斜めに左前の方を見ていきます。後ろから前に
ジグザグに視線を動かすわけです。最前列まで来たら、次には一番
後ろの右奥から、同様に斜め前に向けて見ていきます。もちろん、
右奥からスタートさせても構いません。また、ときには原則から外
れることもあり得ます。
 このように原則をもって視線を配ることで偏りが防げ、聞き手に
対して「全員に向けて話していますよ」「あなたのことを無視して
いませんよ」というメッセージが伝わります。