■ワンポイント・エッセイ  
  研修講師になるために(5)    大嶋 利佳

 前回、「優れた講師は、例え一方的に講義をしているようでも、
常に聞き手の反応に注意し、心情をつかみ、理解と納得を引き出す
ような工夫をしながら話している」と述べました。今月から、これ
について具体的に述べていきます。
 まず、押さえておきたいのは「人前で話す」のも聞き手との会話
の一種であり、双方向のやりとりだということです。講師が話し、
聞き手はただ黙って座っているばかりではありません。聞き手が発
言するのは質疑応答の時間だけというケースも多いですが、講義中
でも、聞き手は講師の話になにかしらの反応をもち、それを態度で
示します。講師と目を合わせたり、うなずいたり、首を傾げたり、
あるいはあくびをしたり、居眠りしたり・・・望ましいものもそう
でないものもありますが、いろいろなメッセージが聞き手側からも
発信されています。
 経験の浅い講師は、自分が話すのに精いっぱいですから、なかなか
それに気づきません。
 では、どうすれば気づけるようになるのでしょう。場数を踏んで慣
れることが大事なのは言うまでもありませんが、私はそれと同時に
「聞き手が何人いようと、基本は1対1の会話と変わらない」とい
意識が大切だと考えています。
 1対1の会話であれば、相手がうなずけばこちらもうなずき、相手
が首を傾げれば「違うと思う?」「どこか分からない?」と尋ねる
しょう。相手が眠そうにしていれば、声を大きくしたり、話題を変
たりして会話に引き込むような工夫をするでしょう。こうしたこと
大勢に対してもできるのが、講師としての話し方なのです。