期待感と達成感(2)

 

 人はどのような時にやる気をもって物事に取り組むでしょう。それは、明確な『目標』があり、現状のままでは達成できないという『危機感』がある時です。

 この危機感を上手く演出できる講師は、受講生の心をつかみ、前向きに受講しようという気持ちを高めることができます。

 具体的な手法としては、研修開始直後にテーマに沿った演習を行うことです。文書研修であれば「まず書かせる」、コミュニケーション研修であれば「まずスピーチさせる」、マナー研修であれば「まず敬語を使わせる」という進め方をすることです。

 おそらく多くの受講生が満足なアウトプットができず、途方に暮れるはずです。なかには「何も教えてもらっていないのに、出来るわけない」と反感を抱く人もいるでしょう。

 ここで講師は「今の皆さんのレベルは平均50点です。しかし、研修の最後にもう一度演習をしますが、その時には平均80点になります。」と『目標ライン』を告げます。

 現状のままではレベルが低いことに『危機感』を抱いた受講生は、半信半疑ながらも、80点を目ざして頑張るしかないことに気づき、これが「どんな講義になるんだろう」という『期待感』となっていきます。

 次回は、この『期待感』を持続させながらスキルアップを実現するための手法について解説します。