■ワンポイント・エッセイ
       仕事と空手の日々(7)   大嶋 利佳

 雙志館では、空手道部を開設して、初心者、未経験者でも無理
なく参加できる稽古を実施しています。目的はもちろん、運動不
足解消と体力作りです。
 それに加えてもうひとつ、私が空手の稽古を指導的な立場にある
ビジネスパーソンにお勧めする理由があります。それは声を鍛える
ことです。
 空手では大きな声を出しながら、身体を動かします。大きな声は
相手を威嚇するためにも、自分を鼓舞するためにも必要ですし、ま
たタイミングよく声を出すことで技に力が加わります。
 人前で話をするには、大きくよく通り、メリハリのある声が必要
ですので、空手の稽古で声を出すことがいい練習になるのです。
 さらに、稽古では参加の人たちが交互に号令をかけるようにして
います。基本稽古では「1、2,3・・・」と大きな声で数をかぞ
え、それを合図にみんなで身体を動かしますが、それを指導者だけ
でなく、参加者全員に交代でやってもらっています。
 それは「自分の声にその場にいる全員が従う」という立場になり
「人を動かす声とはどのようなものか」を実感するためです。
 黙っていては人が動きませんし、小さな声で単に数を言うだけで
は、人のやる気はかきたてられません。
 何人もの参加者が気を引き締め、思わず身体を動かしてしまうよ
うな声が出せてこそ、稽古が効果的になります。これは職場での朝
礼やミーティング、指導や注意においても同様でしょう。
 「聞こえればいい」ではなく、相手の心身に響く声が出せてこそ、
ビジネスも成功します。
 雙志館空手道部では、これからもこうしたビジネスに役立つ空手
稽古を行ってまいります。