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□ 講師道錬成道場『雙志館』通信 -2018年3月22日-

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■ワンポイント・エッセイ
「それ本当に前向きですか」(2) 大嶋 利佳

 私は30代の頃、ビジネス専門学校の教員として働いていまし
た。その時に講師採用面接に立ちあったことがあります。
 応募者のひとりが、志望動機を述べる中でこう発言しました。
「こちらの学校で勉強させていただきたい」。すると学部長がぴ
しりとこう言ったのです。
 「勉強は学生たちがすることです。あなたは教えるプロなので
すから、自分の勉強は自分でして来てください」
 応募者はぐっと言葉に詰まり、困惑した表情になりました。
「勉強するのはいいこと。こう言えば、勉強熱心で前向きな応募
者だと評価されるはず」。そう考えてしたに違いない発言が、即
座に否定されてしまったのですから、無理もありません。
 この出来事は、私にも強い印象を残しました。確かに、学校は
講師が勉強する場ではありませんし、学生は講師の教材ではあり
ません。
 授業を行い、学生と接していく中で「講師として勉強になった、
いい経験をした」と感じることは確かにあります。しかしそれは
あくまでも、後からのことです。最初から「自分の勉強、経験の
ため」と考えているようでは、学生は二の次になってしまいます。
これではいい指導者とは言えないでしょう。
 今でも、このような発言をする講師コンサルタントによく出会
います。他のビジネス分野でも、こうした勘違いをしている人が
たくさんいるのではないでしょうか。
 自分の成長機会だけを追い求め、それを前向きだ、熱心だと思っ
ているようでは、どんな分野であっても、本当に高いレベルの仕
事はできない。そう私は考えています。