■ワンポイント・エッセイ
     言葉づかいを正す(その5)  占部 正尚

 「すごい美味しい」という表現について、文法上「すごく美味
しい」が正しい言い方であると、講師が受講生に指導するケース
の続きです。
「すごい(凄い)は、本来恐ろしいものを表現する言葉であり、
美味しいという良い方向性の言葉を修飾すること自体が間違い」
という意見をいきなり言い出す人がいますが、いかがでしょう。
 これは明らかに論点がズレています。まずは文法的な誤りに関
する議論を終えてから、「さらに言いたいことがある」「そもそ
も凄いという単語のつかい方がおかしい」と付け加えるべきです。
 「すごい!美味しい!」という論点をとり違えた解釈を持ち込
む人については前回で触れました。今回は「議論を根底から覆す
こと」が目的となっており、単なる自己満足のための発言としか
思えません。
 このように、正しい言葉づかいを考えることは、好ましい議論
の仕方やコミュニケーションの取り方を考えることにも通じるの
です。
 なお、「すごい」は平仮名で書く分には語源の“恐ろしさ”を
連想させず、まさに時代の流れの中で“好ましさを表す表現”と
して定着してきており、「すごく美味しい」と言っても構わない
と、私は解釈しています。