■ワンポイント・エッセイ 口に出さない強さ(2)大嶋利佳

 私には「言う必要がない、言っても仕方がないことは口にし
ないのが強さだ」という考えがあります。言い換えれば、「余
計な発言が自分を弱くする」ということです。
 例えば、人前で話をするときに、前置きとして「私は話ベタ
で」「こういう改まった場は苦手で」などと言う人がいます。
講師でも、「私は説明が下手で」「準備する時間がなくて」など
と口にする人が少なくありません。
 こうした発言は、聞き手にとっては意味がありません。それに、
そんな言葉から始まる話を、期待感を持って真剣に聞きたいとは
思わないでしょう。
 それなのに、ついそんなことを言ってしまうのはなぜでしょう。
私は、言い訳をして安心したいからだと考えています。聞き手か
ら「話が下手だ、準備不足だ」と思われる前に、自分から先に言
ってしまえば安心です。うまくいかなくても「ほら、最初に私が
自分で言った通りでしょう」と、気持ちの上で開き直ることもで
きます。
 失敗に備えて、先に言い訳をしておく。そんな人が周囲から尊
敬されることはありません。
 余計なことは言わず、すぐに本題に入る。聞き手にとって意味
のあること、聞く価値のあることだけを言う。これができるのが
強い人です。